#30 筋トレにおける柔軟性の大切さ
今思えば、筋トレを始めた頃の私は「とりあえず重いものをガンガン挙げて筋力つければいいだろう」くらいにしか考えてなかったように思います。
まあ当時高校生で専門の指導者もいなかったので、仕方ないといえばそれまでですが、実に愚かです…。
この業界の勉強を始めてからは、さすがにそのような考え方にはならなかったですが、ここ数年でケガをきっかけに改めて「柔軟性」や「可動域」というものの重要性を痛感しました。
“体力向上”の土台として
以前の記事で、当ジムでは筋トレで健康的に筋力を向上させていくことを目的とし、そのために最も効率・効果的なフォームを正しいフォームと考え、ご指導させていただいていることをお話ししました。
筋トレの主目的は、鍛えたい部位が関わるエクササイズ動作に負荷をかけ、筋力を高めたり、筋肉量を増やしていく(筋肥大)というものですが、そのエクササイズの動作の範囲、すなわち関節可動域が小さければ、結果として先述した目的につながるような形での筋力向上や筋肥大は望めません。
関節可動域を決める要因は複数ありますが、重要なのはやはり筋肉の”柔軟性”。
いわゆる”体の柔らかさ”ですね。
「柔軟性」も体力を構成する要素の1つ。
特にスポーツにおける局面の多くは「より強く・より速く・より長く」が求められるので、筋力や瞬発力、持久力などと比べると軽視されやすい体力要素かもしれません。
しかし、体力を構成する土台的要素が筋力であり、その筋力を安全かつ効率的に高めていくにはまず「関節可動域が大きく取れる」ことがとても重要です。
そういった意味では、「体力アップ」の土台に位置するものは「筋力」よりも「柔軟性」といえるかもしれません。
可動域のないところに筋力はつかない
少し専門的なお話になってしまいますが、トレーニングの世界には「特異性の原則」という言葉があります。
「SAID(Specific Adaptation to Imposed Demands)の原則」とも呼ばれ、「身体はトレーニング刺激に応じた適応をする」ことを意味します。
例えば、腕のトレーニングをしても強くなるのは腕だけであり、脚は強くなりません。
また、100m走の記録向上のために瞬発力を高めたいのにマラソンのような低強度・長時間の持久系トレーニングをしていても、持久力は向上しますが、瞬発力は向上しないでしょう。
要するに「トレーニングしたものが向上しますよ」ということですね。
この原則はもちろん筋トレの可動域においても適用されるもので、柔軟性が低いために、小さな可動域でしかトレーニング出来なければ、筋力の向上もその範囲でしか起こりません(これを関節角度特異性といいます)。
まさに”可動域のないところに筋力はつかない”のです。
仮にそのようなごくわずかな可動域のみで筋力が向上したとしても、筋トレを実践している多くの方が目的としている
「ケガや病気に強い健康な身体の獲得」
「身体不調の改善」
「見た目の改善」
「身体能力向上」
に繋がるかというと甚だ疑問です(もちろんこれらの目的を達成するためにとにかく可動域が大きければいいというわけでもありません)。
地道にコツコツ
特に成人以上の方でいえば一般的には柔軟性が高い方より低い方のほうが圧倒的に多いでしょう。
身体を動かす習慣のある方の割合も低いままですし(ここ数年における20〜64歳の運動習慣者の割合は男性で20〜25%、女性で15〜20%)、今の時代、デスクワークの方も多いです。
普通に日常生活を送っている分には、関節可動域を目一杯使う機会というのもそう無いことです。
実際、当ジムに来られる方も身体の硬い方が大半。
普段から身体を動かしているアスリートでさえ、特に初めはガチガチでした(陸上長距離や自転車といった競技の特殊性もありますが)。
来ていただいている方にはどこが硬くて、それをどう改善していくか等をお話した上で、指導の時間以外でもストレッチなどのエクササイズをちょっとした時間に実施していただくようご指導しています。
数週間、数ヶ月が経ち、可動域が改善していくのを皆さま実感されていますし、撮った映像などで見ても客観的に確認ができるほどです。
長期的な効果を実感するにはとにかく継続することですね。
種目や伸張時間、強度、回数、頻度など可動域や柔軟性向上のためのプログラムは、筋トレのそれとは違ってまだまだ分かっていないことが多いです。
もちろんストレッチに関する研究は日進月歩ですから、今後の新たな知見に期待ですね。
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宇都宮市のパーソナルトレーニングジム
トレーニングハウス
「ERSTRE(エアストレ)」
代表 工藤 駿(プロフィール)
TEL 028-348-3870
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◆編集後記
35歳も残り1週間。
今年はなにげに年男です。
なんかいいことあるかなぁ。