#47 フリーウエイト器具の管理・メンテナンス

バーベルのお手入れ

安全な施設の運営において欠かせないことの1つが、トレーニング器材の管理やメンテナンス。
当ジムはフリーウエイトが中心なので、一般のフィットネスジムほどの手間はかかりませんが、定期的にバーベルやラック等のメンテナンス作業を行っています。
つい最近、自身のトレーニング時に器具の取り扱いの中でちょっとしたトラブルもあったので、その事例もご紹介しつつ、ジムで行なっている器具メンテナンスについて書こうと思います。

バーベルメンテナンス

使用頻度としては最も高い器具であるバーベル。
主なメンテナンスとしては以下の2つです。

ローレットのブラシがけ

ローレットのブラシがけ

トレーニング時に使用する炭マグ(炭酸マグネシウム:滑り止め用の粉)や手の皮脂を落とすために行います。
これらは放置すると酸化してバーベルに錆が出る原因となります。
特にローレット部分(滑り止め用のギザギザ加工部分)は溝に炭マグや皮脂が入り込みやすいので、ブラシでしっかり落とします。

真鍮ブラシとナイロンブラシ

真鍮ブラシ(左)とナイロンブラシ(右)

バーベルメンテナンスに使用するブラシとして、よく真鍮(しんちゅう)ブラシが挙げられますが、毛先が柔らかめとはいえ金属で出来ていますから、長期間使用していると、ローレットが削れてきてしまう恐れがあります。
基本的にはなるべく毛先の細いナイロン製のブラシの方が良いでしょう。
炭マグの除去が目的であればそもそも大きな力でこする必要はありませんし、金属ブラシでなくても問題ないと思われます。
実際に両方とも試してみましたが、ナイロンブラシでも十分除去できました。

スリーブ部への油差し

バーベルスリーブ部への油差し

プレート(重り)を付けるスリーブ部分にオイル(潤滑油)を塗布して拭きあげます。
特にプレートの穴の内側部分がラバーコーティングのものは、この作業をしないと抜き差しがスムーズにいきません。
また、スリーブ部の錆の予防にもなります。
拭きあげには「キムワイプ」という使い捨ての紙製ウエスを使っています。
ティッシュなどと違い、拭き取った後にケバや繊維くずが残ることもありません。

 
実際にバーベルが錆びてしまった場合には、研磨剤や錆び落し剤などを使用して対応する必要があるのでしょうが、現状では特にそのような箇所は見当たらないので、上記の2点のみのメンテナンス作業を行なっています。

 

スクワットラックのボルト締め

スクワットラックのボルト締め

バーベルと同様、スクワットラックも使用頻度の高い器具です。
通常の清掃以外で、使用後に毎回行うようなメンテナンスは特にありませんが、月に1〜2回ほど、ボルトが緩んでいないかどうかの確認をしています。
緩みの確認も締め作業も手の力でできるレベルではないので、インパクトドライバーを使用します。
また、ダンベルやベンチ類もこのタイミングで緩み確認・締め作業を行なっています。

 

ラットマシンスリーブ部への油差し

マシンスリーブ部への油差し

当ジム唯一のマシンであるラットマシン。
マシンの主なメンテナンスは、ウエイトプレート(重り)が上下に動くスリーブ部への油差しではないでしょうか。
マシンはバーベルやダンベルと違い、重量負荷がケーブルを介してかかるので、そのケーブルやウエイトが動く箇所がスムーズでないと結果的に筋肉にもうまく負荷が乗りません。
昔、ジムに勤めていた時もこまめに油を差していました。

ただ、マシンスリーブ部への油差しはオイル(潤滑油)ではなく、グリース。
グリースはオイルに増ちょう剤(オイルを半固体にする物質)を加えたもので、潤滑効果が長期にわたります。
先述のバーベルスリーブへの油差しに使うオイルではすぐに乾いてしまい、ウエイトプレートの動きが悪くなります(場所によっては上に挙げたところで止まってしまいます)。
オイルではなく、グリースを差すとそのような不具合は全くありません。
オイルと比べると汚れや垢が付きやすいというデメリットはありますが、マシンスリーブへはやはりグリースが適しているようです。

 

プレート穴の内側に注意!

先日、自身のトレーニング後に人差し指の腹の部分にチクッとした痛みを感じました。
どうやらプレートの金属片が刺さっていたようです。
あまり無いことだとは思うのですが、プレートをバーベルに付ける際、どうしても金属どうしがぶつかるので、破損してしまうことがあるのかもしれません。
プレート穴の内側を確認してみると1箇所欠けている部分が見つかりました(写真だとちょっとわかりにくいですが…)。

プレート穴内側部分の破損

もちろん、この内側部分の素材もプレートにより様々で、このようなスチール製もあれば、上から塗装されたもの、ラバーコーティングされたものもあります。
いずれにしてもプレートを手で持つ際は、穴の内側に指をかけないように持つようにした方が良いでしょう。
指導の中でもクライアントにプレートの脱着をお手伝いいただく場合があるので、十分気をつけなければなりませんね。

 
安全面について考えるのはエクササイズのフォームだけではありません。
プレートの持ち方に限らず、バーベルやダンベルの取り方、置き方、マシンやベンチの乗り降り、トレーニング中の呼吸(バルサルバ)の影響など、ジムで筋トレをしていく上で気を配ることは意外とたくさんあります。
当ジムとしても効果・効率を求めるのは当然ですが、「安全」が前提にあることを常に忘れないようにしたいですね。

 
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宇都宮市のパーソナルトレーニングジム
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「ERSTRE(エアストレ)」
代表 工藤 駿(プロフィール)
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◆編集後記
ちなみに指に入った金属片はかなり奥に入り込んでしまいピンセットや針では全然取れず…。
結局、爪切りで表面の皮と肉(?)を切り取り、計2時間くらいかけてなんとか取れました。