#81 バーを保持する握力問題

初心者の方でもトレーニングをしっかり続けているうちに、少しずつ運動強度(使用重量)を上げられるようになってきます。

全員ではありませんが、そんなトレーニングに慣れてきた時期に出てくるのが、「バーベルやダンベルを握っている間、前腕がきつい」という問題。
特に起きやすいのが、デッドリフトやRDLといった比較的大きな重量を扱える下半身種目の時です。

もちろん、負荷を漸進的に上げていけば、それに伴いある程度握力も向上していきますし、バーを握ること自体にも慣れてはくるのですが、サイズの大きい下半身と、小さな前腕の筋力向上度合には差が出てきてしまうのかもしれません。
また、手の大きさ・指の長さもかなりバーの保持力に影響するので、手が小さい・指が短い方は余計に大変です(私がそうなので…)。

この問題の解決策について考えてみました。

フックグリップ

フックグリップ

後述する握力補助ギアもとても便利なものですが、まずはそれらを使わずに解決できるのがベストです。
フックグリップとは写真のように親指を先にバーに巻きつけて、その上から人差し指・中指を被せる握り方です。
上手く握ることができれば、かなりグリップ力が向上します。
ただ、特に最初のうちは親指が結構痛いので慣れるまでにはそれなりの期間が必要になるでしょう。
経験的には、トレーニングをしばらく続けてからフックグリップに切り替えるよりも、まだ重い重量を扱わない初めのうちからフックグリップでトレーニングしていったほうが、あまり痛みを感じずに負荷も上げていけることが多いです。

チョーク

チョーク

鉄棒などの体操競技やクライミングなどでも使われる滑り止めの粉ですね。
主成分の炭酸マグネシウムが手指の汗を吸収し、乾燥させて滑りにくくしてくれます。
粉末以外に液体タイプ(写真右)のものもあります。
以前、ジムに通っていた時に粉末チョークを小さな容器に入れて持っていっていましたが、容器を倒して豪快にゴムマット上にこぼしてしまったことがあります…。
ホームジムでない限りは、液体チョークにしておいた方が良いでしょう。
ただ、そもそも一般のジムだとチョークの使用はかなり気を遣います。白く汚れますし。
私も使う時は濡れタオルを持参して毎回拭き取っていました。

ストラップ・パワーグリップ

握力補助ギア

握力補助ギアといえばこの2つでしょう。
デッドリフト系種目だけでなく、クリーンやスナッチなどのリフティング系から懸垂やラットプルダウン、ローイング系種目まで幅広く使用できます。
一般的にはチョークよりもこれらのギアを使用する人の方が圧倒的多数だと思います。

グローブ

トレーニンググローブ

グローブにはストラップやパワーグリップのようなメカニズムによるグリップ力向上効果はありません。
むしろグローブの厚みがある分、太いバーを握るのと同じことになるので、握力的にはマイナスになる可能性もありますが、表面に滑り止め加工がされているので、チョークと同じような効果があるようです。
また、チョークだと人によっては手が荒れたり、素手だとマメが出来ることもあります。
当ジムにも特に女性の方の中には気にされる方もいらっしゃるので、その場合にはグローブを使用していただいています(写真のグローブはある女性クライアントのものです)。

女子用バー・テクニカルバー

女子用バー・テクニカルバー

冒頭でも述べたように、バーの保持において手の大きさ・指の長さはかなり重要になるのですが、これらは変えようがありません。
しかし、握るバーを細くすることで握力負担を軽減することはできます。
どのジムにもある一般的な20kgのオリンピックバーは直径が28~29mmですが、当ジムにある女子用バー(15kg)とテクニカルバー(10kg)は25mm。
たかが3mmと思うかもしれませんが、握り比べてみるとかなり細く感じます。
もともと女性の方にはこちらのバーを使っていただいていますが、男性でも握力負担を考慮して、あえて25mmバーを使ってトレーニングすることもあります。

 
上記ではご紹介しませんでしたが、オルタネイトグリップ(片方を順手、もう片方を逆手で握る)という方法もあるし、長期的に見れば根本の握力を強化していくアプローチが当然必要でしょう。

このように、方法は色々ありますが、どれもメリット・デメリットがあります。
フックグリップに慣れるまでにはある程度時間がかかるでしょうし、それまでには少なからず親指の痛みを伴うかもしれません。
また、補助ギアは手軽に使えて便利ですが、これに慣れて(頼って)しまうと自らの力で握るための筋力は育たないでしょう。

とはいえ、一般の方にフックグリップを教えることもあるし、アスリートにストラップを使用してもらうこともあります。

男性だから、女性だから、アスリートだから、一般の方だからと深く考えずに決めるのではなく、クライアントの身体の状態や体力レベル、競技特性、目的に合わせて柔軟な選択をしていきたいですね。

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宇都宮市のパーソナルトレーニングジム
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◆編集後記

ブンデスリーガが再開しましたね。
Jリーグ再開はいつになるのやら。